財産
財産
ある所に男がいた。男は生まれながらたくさんの財産を持っていた。だが、その財産を上手く使う方法を知らなかった。
時が過ぎ、ふり返ると、その財産は少し減っていたが、まだまだあるように見えた。
その時、男は「財産の使い方を考えるのはもっと後でもいいだろう」と考えていた。
何年かが過ぎた。次に男がふり返ってみた時、財産はかなり減っていた。だが、あれほどの財産が無くなってしまうことなどないように思い、男は安心していた。まだ大丈夫だと思って男はその後の日々を過ごした。しかし、財産は確実に減り続けた。
男は年を取った。「そろそろ財産を有効に使わなければ」焦燥感に駆られて、3度目にふり返った時、驚くばかりに減ってしまった自分の財産を見て、男は愕然とした。この価値ある財産を一体どのように使えばいいのか、男は来る日も来る日も考えた。
しかし、ついに男はその全ての財産を無くしてしまった。ちょうどその時、男は死んだ――。
男にとっての財産とは一体何だったのか。
それは全ての人にひとしく与えられた<時間>だったのだ。
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「財産」作者不明
紙切れの書かれた本より抜粋。
お金が減っていくことは目に見えてわかることですが、時間は目に見えて減っていくことは感じることができません。
賢いお金の使い方を学ぶように賢い時間の使い方も学ばないといつかこのお話のように後悔する日が来るかもしれません。
Karin
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