絵を描きたくないと思うこと〜自分の過去から〜後編

前編からの続き。

高校の途中から妙に背景を描くのが好きになって、大学に入学してからもそういう絵を描いていた。

高校時代後半から始めた細かい背景。

右は、急に授業中に「階段をすごく描きたい」と思い、ひたすら描いたもの。始めてこんなに背景(というか風景)をしっかり描いた。今までは自分は背景を描くのはとても苦手だと思っていたので自分自身で驚いた。
左は受験中ふと頭にイメージに浮かんだものをひたすらガリガリ描いたもの。

大学時代のイラスト

このイラストたちも、しっかり描き込まれていて、以前の高校生の頃の絵と比べるとかなり完成度が増したと思う。
けれど、決定的な相違点として、上記2つは自分が心から楽しいと思って描いたイラストではない。
以前のイラストは、ほとんどが「楽しい」「描きたい」という意欲があって描いたものだったと思う。けれど、大学に入学してからは描き始めの最初は楽しいのだが、途中で飽きてしまうのだった。

けれど、周りからイラストの評価をもらえるのは嬉しかった。

その後、自分自身で描こうと思って描く機会は減り、依頼されて描くということが多くなった。そのときは喜びがあった。

そして、今、アメリカから帰ってきて仕事もまだ始まらず、1日が非生産的な事象で過ぎていく。
絵を描いたほうがいいと、頭で思っていても、心が高まっていない。
そんな中、こうしてブログに自分の今までの絵を描いた歴史を綴ってみた。
そこでいくつか気付いた点があった。

<絵を描きたくないと思うことの理由>

1、自分の心が感動していない、刺激を受けていない
中学や高校のときには漫画のキャラクター、映画の俳優、学校の先生に恋をしたり、「好き」という強い気持ちがいつもあった。また、学校の中でも楽しい授業やつまらない授業、学校への不満、友達との会話などなど、色々な刺激物があった。
けれど、大学時代から今にかけてはどうか。イヤなことがあれば、自分自身で抜け出すことのできる位置にいる。手の届かないものに恋をするのは時間の無駄だと思っている。
そもそも、「絵を描く」というのは、一つの表現方法 であり、その表現の元になるモノが必要なのだ。
例えば、料理を作るときには材料がなければ作れないように、絵のアイディアの材料となるものが極端に少なければ、どんなにコックが良い腕を持っていたとしても良いものは作れず、安っぽくなってしまうだろう。
 つまり、インプット、アウトプットのバランスが悪い。
前述のように、自分自身が受ける刺激であるインプットが極端に今は少ない。出会う人々、感動する作品、そのようなものを得ていない。にもかかわらず、「絵を描くこと」が自分の使命のようには感じていて、時間があるので絵を描こうとする。それがアウトプットだ。自分が他の作品を観ているよりも、作品作りに時間を費やしたほうが良いと感じていたが、それでは結局効率が悪いのだ。


2、絵を描くことへの目的がない
以前では、好きなキャラクターのイラストを、同じ作品が好きな友達同士で見せ合うという目的があった。自分の頭にパッと浮かんだものを絵にして、表現したいという目的があった。漫画家、イラストレーターになりたいという目的があった。
今ははっきりとした目的を持っていない。
オリジナル作品のため、世界観を共通している知り合いはいない。1で述べたように、刺激を受けておらず、表現しようと思うものがない。今は、仕事としてではなく趣味として絵を描きたいと思っている。
どうして描くのか。誰に見せるのか。それがはっきりしていない。

3、絵を描くことへの価値観の変化
受験で、絵を描くことよりも勉強を優先した。勉強のモチベーションを作るのは簡単だ。模擬テストでの順位、偏差値、覚えた単語の数・・・どれだけ自分が頑張ったかすぐに評価ができる。また、全国に同じライバルがいるのだ。勉強が出来るようになることや、周りの評価を得ることの方に価値観を置くことに慣れてしまったのかもしれない。
絵のスキルを確実に測る方法は無い。ある一つの絵でも、「下手な絵」と評価する人もいれば、「新鮮で大胆で気持ちがいい」と感想を持つ人もいるだろう。そこには順位も偏差値もない。
ある画家は言った。「絵は描いた本人が満足であればそれでいい」と。最初、わたしはその言葉の意味がよく分からなかった。絵は上手くなればなるほど良いじゃないか、そのためには自分自身がたくさん努力したり、他の人からも評価が必要である、そんなことを感じた。
周りに評価されるための絵、それを描かなきゃいけない。そんな価値観が自分の中にある。
そういえば、昔は、他人に喜ばれることも考えてはいたけれど、それが全てではなかった。この絵が描いてて楽しいかどうか、好きかどうか、愛しているかどうかだった。基準は私にあった。

<これからやるべきこと>

1、感動する作品を鑑賞する、刺激を受けられることを行う
いま、人気の漫画やアニメ、映画を観るのも良いかもしれない。他にも、自分が今まで行ったことの無い場所に行ったり、友達ともっと頻繁に会おう。今までチャレンジ出来なかったことをどんどんやってみよう。例えばスカイダイビングとか・・・笑

2、絵を描くときの目的をはっきりとする
誰かにあげるための絵なのか。コンテストに出品するための絵なのか。練習のための絵なのか。はっきり決めよう。
個展を開く準備をしてもいいかもしれない。
自分の伝えたいメッセージ、方向性がそこで見つかるかもしれない。

3、自分が納得できるもの、かつ、楽しめるものを描く
 周りが判断基準ではない。自分が満足出来るか、楽しめるかどうかだ。
自分で描いたその絵を心から愛することが出来るかどうか、それを自分自身で決める。



以上のような自分の中で答えが出ました。
自分の重い腰を上げ、どれだけ行いとして現すことが出来るかどうかが決め手になりそうです。

絵を描きたくないと思ったにもかかわらず、すぐ諦めることが出来ないのは、絵を描くことが自分にとっての伴侶となっているからでしょう。かけがえのないものとなっているということです。
それを誇りに思っています。

今回、こうして改めて絵を描くことと向き合えたことに感謝します。
よーし、がんばるぞ。

読んでいただきありがとうございました*

Karin

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